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『落葉松林にて』

無点灯ディスプレイの黒、牛乳菓子とパンを携えて立つ。透明な証明書、未-別軸変分器状態への宙吊り。現場は落葉松の林であった。そして、永続する倚和音に畳み込まれた混声合唱のための「どちりいなきりしたん」のp-周期点であり、あたたかな血液の沼沢地でもあった。ミューオニウム重鎖分子漬け核酸と三角定規が発見され、中二階述語論理による聴取が行われ、足跡から推測されるプロファイルは不注意極まり、円分体的マルチグルーブ時空の中を踊りながら立ち去ったと推測される。可測ゲージ空間はまだTate捻られていない。記憶的モノイドからの可微分全射が鍵を握ると思われた。

果たして犯人は落下する立方体星座ブロックのパリティであった。彼らが不可避的に作り出す中空、それは回せなかった鍵穴、切符の穴、文庫宙空、においたつ透明、ペットボトル。被害者は、描きようないもの、あるいは存在しなかったものたちへの痕跡、その周辺を周転円を描くように犯人と縺れ合い、執着的解析力学のふところ、すなわち精神の重力井戸を、夏の日の鍵穴で穿たれ落葉松林に倒れた。いささかの線形写像的変換を差し挟む余地はあるが!、それが事の真相であったのだ。ならば全ての血漿は銀河を超えて延焼せよ。指先のM60文選銃を片手に、あなたのやわらかなはだえの雲形曲線を誤認逮捕しに、秋雨の中、玄関を飛び出す。